べらぼう村正―女泣川ものがたり

隠し売女・お関の「どうせ地獄なら、鬼のいない地獄を作りたい」という言葉に惚れて、旗本の若隠居・左文字小弥太は地獄宿の用心棒となった…。天保改革後の江戸は深川、小名木川近くの十二軒長屋を舞台に、竹光ながら滅法強い“べらぼう村正”を振って売女たちの夢を守る新しいヒーロー・左文字小弥太の誕生!

都筑道夫という作家さんを知らずに買って(一寸面白そうな主題副題だなって思って)、読み始めたら止まらなくなって一気に読了。 他の作品も読みたい。

小名木川とは現存した(人工)河川なんでありますが、それを

女の涙があつまって、流れているんです

とのことで「女泣川」と言わせる辺りから始まる、その言語感覚が物凄く気持ち良い。

派手さはありませんが決して地味なのではなく、話のテンポも良く、ほろりとさせられるとこもあり、時代劇好きにはたまらん1冊なんじゃないでしょうか。