本所深川ふしぎ草紙

近江屋藤兵衛が殺された。下手人は藤兵衛と折り合いの悪かった娘のお美津だという噂が流れたが…。幼い頃お美津に受けた恩義を忘れず、ほのかな思いを抱き続けた職人がことの真相を探る「片葉の芦」。お嬢さんの恋愛成就の願掛けに丑三つ参りを命ぜられた奉公人の娘おりんの出会った怪異の顛末「送り提灯」など深川七不思議を題材に下町人情の世界を描く7編。宮部ワールド時代小説篇。

宮部みゆきの時代物が面白い!と先日気が付いてからというもの、読書における宮部度が少しずつ高まっている今日この頃。 とは言え全体の読書量がここ数ヶ月、多忙により減っているのではありまして、なかなかどうして。

佳作です。

本所深川を舞台に7つの物語から構成されているこの作品群は、その辺を仕切る古顔の岡っ引きである回向院の茂七が常に登場し、物語を進めていくのであります。 だので7つの作品が揃って一つの長編物語だと申し上げても構わないのであり、且つその位に一本確かな筋が通ってる。 拾い読みをするんだったら最初から一気に読み通した方が味わいが深いものです。

文体も読みやすく、時代物初心者にもおすすめ。