戦乱の到来を契機に大商いを目論む陶器の名工源十郎と、息子と家族3人で貧しくともささやかな幸せを望む妻の宮木。 そして、侍として立身出世を夢見る源十郎の弟・藤兵衛とその妻。 やがて源十郎と藤兵衛はそれぞれの妻を故郷に残して都に出るが、源十郎はそこで怪しい美女に出会う。
私の場合、先に原作を読んでいたので、この映画が「蛇性の婬」と「浅茅が宿」を下敷きに作られたときいて、何となくでもその筋書きがわかっていたのですが、そうではなく、原作を知らなくても十分に面白い...映画として成立しているのがこの場合、とても嬉しいと感じたところ。
モノクロ(と、その前にすごく昔の作品)ではありますが、照明に凝っていてその映像美は感嘆の域に達しており、また、台詞回しが古めかしくはなく、耳を通して脳内でしっかりと解釈出来るのも、現在において観てみても飽きさせない力を潜めています。
こういうのを名作っていうんだろうなぁ。