町人が「いっぺえやんねえ」なら、武士は「一つまいろう」と言った。平和が続き武士が「戦うもの」でなくなった江戸時代、武士を武士たらしめていたのは、身分社会の規則と武士の文化であり、その文化の中でも一番根底にあったのが、武家の言葉だ。
本書では193の言葉を選んで解説し、珠玉の時代小説からの使用例を紹介。山本周五郎が、池波正太郎が、藤沢周平が描いた武士の作法やしぐさ、剣の奥義、江戸の四季などが、味わい深い言葉とともに甦り、武士の心を今に伝える1冊。
序に、一寸前に「侍語ブーム」というものがあった事を知り、なんか全然そんなの縁がなかったし、無理矢理感が無くね?って思ったり。 というかブームなだけに今は下火なんだろうなぁ。
それはさておきこの蘊蓄本、暇つぶしに読むにはなかなかのもの。 純然たる「武士の日本語」じゃなくて、「時代小説で登場した古い日本語」という方が的を射ている風ではありまして、まぁまさか「茶屋酒」なんてなのが「使ってみたい」もんだとは到底思えず、使ったところで誰も反応してくれないところがほんとのところだろうだとは思いますけれども、そういう事でタイトルとか無視したところで気軽に読めばよろしいです。
本書では品格だなんだと書かれてますけど、武士なんて客観的に眺めてみれば、抑圧されて(その多数は)貧しく、屈折した武器所有者軍団ですからね。 武器所有も何も、外出する時は2つも持ってますしね。 野蛮ですよ、普通考えて。 野蛮っていうか乱暴っていうか。
そんなのをカモフラージュした江戸時代っていうのはすげぇもんだよなぁ、と思うところではありまして。