ちょいとこないだ、とある不動産業者のサイトを見たら、
定額補修費
ってのに出くわしまして、面食らったのではありました。 その物件は敷金礼金ゼロの、所謂ゼロゼロ物件なんですけれどもね。
あー礼金っていうのは「家主さん貸してくれてありがとさん」ってお礼の意味を込めて渡すお金で、不思議な話だけど不動産業者だの、よもや家主自らが「礼を金で寄越せ」って言ってる訳で、なんとまぁ欲深いんでしょうって話です。
敷金っていうのは別に借地借家法に定められたものではなく(と思う、違ってたら教えてください)、これも礼金みたいに慣習的な意味合いが強いのですけれども、性質は全く異なり、簡単に言うと担保なんですよね。 入居時に幾ばくか(決められていないけど家賃の*ヶ月分っていう感じ)のお金を家主(仲介業者じゃありません)に渡し、賃料の未払い分を補填したり、退去時の精算に使ったり、という。 だもんで、普通に使っていれば全額戻ってくるんですよ。 あー色々あるから細かくは言いませんけれども。 兎に角敷金はそういう性質のものだって事。
だもんで、私としては、敷金ゼロの物件は非常に怪しく感じるんですよ。 担保要りません!って事なんですから。 退去時にどんだけ請求されるかわかったもんじゃないよー、って思うんです。 ほら、入居時は退去時の事を考えませんからね、気楽だったり希望に満ちあふれていたりするもんじゃん。 だもんでまさしく後先考えないじゃんね。
礼金ゼロってのは別にね、いいんじゃない。 っていうか普通ゼロでしょ。
そんなこんなで、敷金ゼロの物件を見かけると、思いっきり広告内容を読むんです。 なーんかそれらしく、敷金っぽいニュアンスだけど全然そうじゃない料金項目は無いかなーって。 そしたら
定額補修費
ですよ。 何が定額なのか、住んでて何したって(例えば部屋を破壊しちゃって)も定額で済んじゃうのか、とか、よくわからない料金項目でありますなー。 実際に契約書を見るまでは油断が出来ない物件ですよね。
契約書っていえば、「敷金」という名目が立ってても契約書では全然そうじゃないって事も考えられるので、契約する際はちゃんと契約書だの重要事項説明書とか読まないとです。 っていうか重要事項説明は宅建主任者が書面と口頭で説明するもんだから(当たり前だけど契約の前にね)、なんか疑問があったら...これは敷金みたいに担保じゃないんですか!?とか問い質せばいいんですよね。 納得いかなければ契約しなければいいんだもん。
ところで定額補修費とかそういう、敷金とうたわずに敷金とは違う性質の料金項目が何で増えたかっていうと、東京ルールが広まったからなんじゃないですかねー。
東京ルールとはいっても賃貸住宅紛争防止条例でやんして、東京都の条例だけど広まってるって事で、要は何だというと、今まで敷金で充当していた補修費は、その多くが貸主負担なんですよっていう事で、例えばタバコも吸わずに10年も居れば壁紙も古くなりますけれども、こんなのは経年劣化だから補修費は貸主の負担です、みたいなね。
こうなると敷金っていうのは家主とか不動産業者には旨味のある料金項目ではなくなります。
だもんで出現しちゃうの。
定額補修費
とかそういうのが。 定額なんですもん、何があろうと最初に払ってもらいますし、担保性はないので返還とかありません、って事なのね。 ただ、敷金はゼロですよー!と。
ダマされているような気になるんだよなー。