極左暴力集団

2009071201
2009071201 posted by (C)padmacolors

昭和50年に社会運動研究会から発刊されたこの書籍「極左暴力集団」は非売品で、恐らくは当局関係に出回ったテキストだと思われるのですけれども、案外普通に中古市場に流れており、現在でも入手可能です(1500円位でしょうか)。

この「社会運動研究会」っていうのがいかにも怪しく、しかも九段(南)にあるってんですから一層怪しく、こころみにGoogleMapで調べてみますと、靖国神社の南側(靖国通りを挟んで向かい)にある...ってこれって(旧)松葉館じゃないか。 うーん、うーん(頭=海胆)。

と、そういう面白さもあるんですけれども、それはさておき内容。 取り敢えず私なんてこの書籍を頭ごなしに当局のテキストなんだと決めつけてしまっているんですが、そんな固定観念を吹き飛ばす内容なんです。 こんなに分かりやすいテキストは無いだろう、と。

タイトルが「極左暴力集団」となってますけども、戦後左翼の変遷が非常に読みやすくまとめられております。 何よりも膝を叩いてしまったのが、

極左暴力集団形成の歴史は、裏を返せばそのまま日本共産党の路線転換の歴史であるといってもよいほど、同党と深いかかわり合いがある。(赤文字は当サイトによるもの)

の部分。 もうこれでツカミはOK。 左翼...特に新左翼ってなんだかなーっていう一般的な疑問にこれで100%返せちゃうっていう。

当局側のテキストと思われるも、「どっちにつかず」の中道的で冷静な視点からペンが進んでいるのも特徴的であります。 やたらに非難もせず、迎合もせず、とにかくとにかく淡々と解説していく...ので、巷あふれる関係書籍とは一線を画す理解を深めます。

これ読んで理解を深めてどうするんだという話もありますが。

昭和50年(の3月)刊行なので、東アジア半日武装戦線については全く触れられていません。 一斉検挙は明くる年の5月でありますから。 もし検挙後の発刊であればどんな内容になっていただろうと考えてしまいます。 果たして東アジア半日武装戦線を極左暴力集団に規定するのか、それとも左翼ではない「反日」集団として扱うのか...なんて。