やくざを殺して、三年ぶりに出所した村木(池部良)の足は賭場に向かった。賭けの緊張感とその後の虚脱感だけが村木に生を実感させた。その賭場で少女(加 賀まりこ)と村木は出逢う。茣蓙を見つめる熱っぽい眼差しと、勝負への放胆さを持つ少女に村木は羨望と嫉妬を感じた。少女にせがまれて大規模な賭場に案内 した村木だったがその部屋の隅には殺しと麻薬にだけ生きている中国帰りの葉(藤木孝)がうずくまっていた……。
篠田正浩という映画監督の作品は、「はなれ瞽女おりん」以降は怖くて観られないのですけれども、これは1964年の作品って事で安心して観始めたのであります。
そもそもこの作品は時代的に松竹ヌーベルバーグでありまして、観るのに心配とかそういうのは無かったんですが、観てて結構ハマってしまう自分に気づいたのでした。
池部良の主人公が、ヤクザだけどもよくよく語るキャラなのであります。 そう劇中の台詞もあおうだけど、ナレーションもしてるんで、そういう風にみえちゃうんです。 それがこの作品を面白くしている。 ヤクザ映画じゃなくしているのが興味深い。 独特な世界観を醸し出しています。
それと、なんといっても加賀まり子。 小悪魔というよりかは単に童顔に化粧をしただけのようにも見るながらも・・・これを演技というよりも・・・その存在感、眼力がすごい。 当時の喋り方なのだろうか・・・を踏襲しているからなのか、出来れば台詞を発さない方が断然良いのですして、そこだけが難点。
でもそれ以外はすごい。 ちょっとしたカメラワークも、当時は斬新とされたであろう編集技術も、評価に値するのではないでしょうか。 ラストシーンもなかなかいいなぁ。
出来れば最初に予告編を観るべきです。 そうすっとより楽しめます。