名匠・増村保造監督が、「セックス・チェック」というモチーフで社会的な性差の問題に挑んだ異色エロス。日本記録まであと一歩というところまで迫るスプリンターの南雲ひろ子は、セックス・チェックの結果、男女両方の生殖器を持つ半陰陽と診断される。
セックスチェックという言葉を知らなかったので、私もアカネもひるんだんではありますが(アカネは見てないけどね)、それよりなにより緒形拳が出てますからね。 それにこれ、緒形拳の最高傑作だって噂だったし。
その実、若き緒形拳の最高傑作であり、愛すべきB級スポ根映画なのでありました。
私が基本的にスポ根ものを嫌いなのは、激しく、熱く、暑苦しく、大声で、自分勝手だからなんでありますけれども、その評価は半分当たってました。 でも残り半分が当たっていなかったのはこの映画を見て分かったのでして、それは、一般的なスポ根ものが中途半端だ、という事だったから。
この映画の壊れっぷりは楽しい。 勿論緒形拳の自己中心っぷりも、安田道代の男言葉の訛りっぷりも笑えるのです。 ですがしかし、何より「あー大映だなー」と感じたのは精神が壊れてしまったという設定の小川真由美の呆けっぷり。 睡眠薬のオーバードーズで気が狂っちゃったのだ!的な安易な展開で、もう救いようがありません。
ただ見終わると...あんまり晴れやかな気持ちになれないんですよね、エンディングのわりには。