大江戸定年組

三人の男は職を退いた。町方同心の藤村慎三郎、三千五百石の旗本夏木忠継、町方の七福仁左衛門。旧友の三人はまだまだ気力体力ともに充分で、さてこらから どう生きるかと思案。三人の願いは、いい景色の中で暮らすこと。手頃な隠れ家初秋亭を根城に、江戸市中の厄介事解決に乗り出した。手前の女房がさらわれま して──初めての事件は、豪商からの突飛な話で始まった。

これまた風野真知雄の著作。 全7巻読了。

些か地味なのではないかという風評もあるようですけれども、主人公達がそれぞれ職を倅に譲って隠居の身...という設定なのですから、そんなにはちゃんちゃんばらばらできないよね、とは思うなぁ。 同心だ与力だ、じゃなくて、「元」同心ですものね。 それにしたって隣が番所だっていうのがいかにも著者らしい。

またこの作品では、巻末が次の巻を予感させるような引っ張り方になっている作りで、実際に次の巻を読み終えると、前に読者が予想していた風には進んでいない事に気付かされ、その落差が何とも面白い。

途中から謎の宗教集団「げむげむ」が登場し、深川の鮫蔵と絡んでとんでもないラストが待ち構えているんですが、これって7巻で終わりなのでしょうか。 それとも8巻目も出るのであれば...どんな展開になるんだろう...と、思いっきり著者の策にはまっている私なのではありました。