へび使いのお巳よと所帯を持った穴屋佐平次。珍商売仲間に稀代の絵師・北斎先生も加わり、本所の夜鳴長屋は今日も賑やかだ。ある日、花札の大店・仁天堂の 後家が訪れた。三カ月前、辻斬りに遭った主喜左衛門の幽霊が出たという。生前の依頼を果たしてほしいと、佐平次は幽霊となった喜左衛門の耳たぶに穴を開け ることに…。好評時代連作。
これの2冊が刊行されるとは思わなかった。 前巻であまりに「らしくない大団円」を迎え、もうお腹いっぱいでしたけれども、こうやって2巻目が出ちゃうと、それはそれで買ってしまうんだなぁ。
ふと巻末を読んで気がついたのですけれども、これって完全な書下ろしじゃないんですね。 去年「問題小説」に掲載したのと、書下ろし1本で構成されているんです。 そうなんだねぇ、純然たる書下ろし作家ではなかったんですねー。
内容は相変わらず面白い。 全然クオリティーが低下しないのは素晴らしいし一寸不気味。 そもそもが意表をつきまくる作風なんで、今更「幽霊の耳たぶに穴」とか言われても「なんとかすんだろ?」みたく、題材のインパクトを感じづらくなったのは、もしやして風野病?