刺客が来る道

言われなき罪に問われ江戸に追放された信夫藩藩士佐山壮之助。慣れぬ江戸の町で親子四人細々と生活を始めたが、突然刺客に襲われる。家族を守るため江戸郊 外に身を隠すが、執拗に襲ってくる刺客。厄介者のように放り出し、殺害しようとしている藩主の薄情さに怒りを覚え、己の不運を呪う。果たして家族四人の生 活を守りきれるのか…。武士を捨て町人として懸命に生きる男の心情を描く連作時代小説。

単行本は1999年に刊行され、あんまり売れなかったそうですけど、風野真知雄作品なので面白くないワケがありません。 案外に普通かな?っていう設定(こういう書き方もヘン?)でして、一話一話がかなり短く、さくさくさくと読めちゃうんですが、どういうわけか読中妙な感慨になるんです。

なんだかわからずに読了となってしまったんです。

が、この文庫版には珍しく「あとがき」がありまして、著者自ら「きわめて個人的なことだがこの作品には格別の思いがあって」...とあります。 この著者の「格別の思い」を沸き立たせる何かがこの作品の中にはあり、それを私も感じ取ったのかも知れません。

それにしてもこの「あとがき」は秀逸。 これを読むためだけに買ってもいいくらい。