近松門左衛門=心中物禁止、英一蝶=三宅島流罪など、江戸時代は、筆禍事件の続発ときびしい言論統制、弾圧の時代であった。市民的な文化活動の盛行と幕府による統制・弾圧の実態を当時の世相を交え、わかりやすく描く。
お上が出したお触れ等よりも、京都の出版業界での自主規制の存在そのものが興味深いところなのではありますが、それよりも本書が目指している禁書における権力と市民(作者・出版社)との関係・問題がメインなのでありまして、特に私は英一蝶のくだり。 しかも浅妻舟の部分に心ひかれたところ。
というのもどこかの小説で(風野真知雄?)浅妻舟をモチーフにしたものがあったのですけど、その時はピンとこなかったんですよね。 知ってはいましたけど詳しくはなかったので、読了後も特別何もなく・・・みたいな。 先にこれを読んでおけば良かったなぁと思った次第なんです。
あだしあだ波 よせては帰るなみ
浅妻船の浅からぬ あゝまたの夜は
たれに契をかはして色を 枕はづかし
我床の山 よしそれとても世の中