パラダイスK

日本のサイケデリック・バンドの重鎮、割礼、あの幻の名盤をリマスター+ボーナストラック収録で再発!

今聴くと、絶妙に現在のニューウェーヴ、ゴスパンク・リバイバルに命中しているこの盤。
実に23 年前の作品であるにもかかわらず、内容的に古さを全く感じさせないのは当時からすでに特別なバンドであった事の証であろう。
1986 年に地元名古屋のライブハウスHUCK FINN で録音され、6 曲入り12 インチアナログ盤でリリースされた割礼の1st アルバム「PARADISE K」を紙ジャケット仕様で完全復刻。
またボーカルの宍戸セレクトによる当時のレア音源を追加収録、全11 曲、トータルタイム58 分の豪華リイシューとなった。
83 年に結成された割礼は当初はかなりアップテンポの曲を演奏しており、それこそ当時のパンク・ニューウェーヴ・ムーブメントの一翼を担っていたのだが、この アルバムの時期から徐々に楽曲のBPM ダウンが始まり、そしてスローテンポの楽曲が極まる頃にメジャー契約を獲得している。
今回の追加トラックの収録により初期~メジャーデビューまでの変化の過程を克明に捉える記録盤、とも言える内容になっており、またリマスター作業によりオ リジナル盤で欠けていた低音部分の増幅に成功、宍戸いわく「やっと完成した気がする。」との事。
TELEVISION やTHE CURE などのネオ・サイケデリック的なパンキッシュなナンバーからジャックスの正統的な後継者たる日本のサイケデリックバンドの前衛まで、フィードバック ノイズにどっぷり浸かって楽しんでいただきたい。

まだまだアップテンポだった頃の割礼。 リマスターされたとの事なんですけど、オリジナル盤をもう持っておらず、聴き比べることが出来ないんですが、それでも勝手に「今回のCDの方がいい!」としてしまいます。 さすがに時代を感じさせるところがありますながらも、どこか懐かしさを感じてしまうのはトシのせいなのかも知れません。

それにしてもボーナストラックがすごすぎる。 ゲーペーウーのスローバージョン。 溺れっぱなしのライブバージョン。 この2曲だけでも聴いて欲しい。 ゲーペーウーのスローバージョンはLIVE9091のライブ版が極めつけ(しかももっとゆっくり!)なんですが、こっちも聴きごたえがありますし、なんていっても圧巻なのが「溺れっぱなし」。 ノイズの洪水にホント溺れてしまいそうになります。 あぁ、買って良かった生きてて良かった。

ちなみに溺れっぱなしは17分とクレジットされておりますが、実質は14分程で、残りにシークレットトラックが収められています。 耳を疑うようなリズムセクションと、力いっぱい納得するギターの音色が興味深いところです。