東京時代 – 都市の肖像

この本は、会っさ非新聞の東京版に昭和五十八年十月から五十九年六月まで百回にわたって連載した「都市の肖像」に、一般記事として書いた同趣旨の六篇を加えて全体を再構成したものです。

1984年12月に初版が出たこの本は、売れたのかどうだかはわかんないけど案外古本屋さんにありまして、気になってはいたんですけど背表紙に「朝日新聞社会部」とあると腰が引けてしまったのでありました。

見開きページに写真一枚とエッセイ。という構成で当時の東京を綴っておりまして、よくよく考えてみると80年代バリバリの東京が切り取られているんですね。 しかもDTP以前の刊でありますから、文字単位でじっくり見るのも面白い。

なかでも京島での1枚が興味深いところ。 近所の子供達が写っているのですけれども、垢抜けているんだか抜けていないんだかの端境のいるみたいで、見ているこっちのバランス感覚が危うくなってきそう。 昭和の最後の頃の、得も言われぬ閉塞感をも同時に感じ取れるのでありました。