石井輝男が監督、高倉健が主演を務めた任侠劇。元松田組の最高幹部・良一は、やくざ渡世から足を洗い、現在は寿司屋の主人。良一が去った後の松田組は、ノミ行為を当局に取り締まられ頭を痛めていた。そんな時、大阪の最大組織の若者頭が上京し…。
手っ取り早く書いたような台本で出来上がったような、今ひとつ踏み込みの足りない映画。 私自身は任侠映画がどういうものかよく知らないので、これが任侠映画的にどうなのかはわからないんですけど、普通に映画としてみると、今ひとつではあります。
ただ、見るべきところは大変多い。 郷鍈治でしょ、現在自伝を書いてらっしゃるらしい梶芽衣子「さま」でしょ、成田三樹夫でしょ、夏八木勲でしょ、他色々癖の有り過ぎる面々が勢ぞろいしちゃってるんですよ。 もうこれだけで観るべきだと私は思うんですよね。 豪華キャストなんですよ。 だから正直、台本とかどうでもいいんですよいいわけねぇだろーがー!
あ、そうそう。 高倉健さんも出てらっしゃる・・・主演で・・・なんですが、私、そんなにファンじゃない、と申しますか、どこがいいのかよくわかんないので、最後でくるくるされても、あぁくるくるしてるなーってなところでした。 ただ、これ1973年でしょ。 高倉さんは1931年生まれでしょ。 この時42歳でしょ。 今の私と同い年でしょ! って知った所で、ちょっと共感しちゃったり。 でも、演技がよくわかんない。 最後の斬り合いで、無言だったのは良かっただすけどなぁ。
無言と言えば梶芽衣子「さま」ですが、この作品では更に無口な高倉さんのお相手っていう事で、反面べちゃくちゃ喋ります。 そして、眼力が他のどの作品よりも怖い(強い)。 ぱっと見、ホラーの様相を呈している程の強い(怖い)眼力であります。 ちょっとトラウマになるかも知れないです。
もう内容は荒唐無稽で、なんだよもう結婚とかするしないの話かよー、とかはまだいい方で、夏八木勲さんが大阪だかに乗り込むってんで、子分が冷た〜いのを用意してね、(夏八木さんの)奥さんに「どうだす?一発打ちまっか?」みたいな事を言うんですよ。 「そうね」ってなもんですよ。 「いいわよ自分で打つから」ってなもんですよ。 これから大阪に行くっていうのに東京くんだりで何やってんだよって話です。 横浜あたりで効き目なくなっちゃうだろ?ってな話です。 シ●ブだか栄養剤だか知りませんけど(前者でしょ)。 だもんで川崎あたりで返り討ちにあって全滅しちゃうんですよ。 で!その奥さん、妊娠4ヶ月だって事が後で判るんです。 おい!さっき何打った!?「いいわよ自分で打つから」とかってなに!?
という映画ですよ。 まったく素晴らしい。