事前に知っていればどういうということはないのでしょうが、知らずに聴いたらこれ、一体どこの国のいつごろのバンドなんだろうって不思議に思いつつ・・・聴き終わってしまうかもしれないです。
Älgarnas Trädgårdは69年代最後半から70年台中期まで活動していたスウェーデンのバンドで、バンド名は英訳するとGarden Of the Elksとなるのだそう。
とっつきやすさでいえばDelayedかも。 結局お蔵入りになってしまった2作目の発掘盤なのだそうで、使ってる楽器やその構成はさておき、曲そのものにかなりの変化があります。 海底深く沈みきってしまったところから、悪いあぶくを出しつつ演奏しちゃってる風で、どろんとしたヘビーなユーロロックであります。 そして、かなりジャーマン・ロックなテイストが濃く、かといえクリムゾンっぽい緊張感もあり、ただ演奏内容と申しましょうか楽曲そのものには大きな起伏もなく、瞑想系とも言えるかな。
1作目のFramitden Är Ett Svävande Skepp, Förankrat I Forntidenは、今で言えば(当時も?)珍盤奇盤の類と言えましょう。 トラッドな曲なのに、何故かコスミックでスペーシー。 テープ操作とかもおてのもので、アイデア先行で結果頭でっかちな作風に仕上がってしまった感があります。 「スウェーデンのサードイヤーバンド」かぁ、なるほどねw 音響的な異様さはこのまま2作目にも続くんでありまして、節操が無いところではありますが、効果的あるいはジャーマン臭が。
どちらの作品も、盛り上がりたい時ではなく、お昼寝の時とかによく聴いています。
電子楽器と古楽器や民族楽器を同一地平に置いた多楽器主義など、根底に在るのは「音楽的自由」を超え「価値観の自由」を指向するアコースティック系バンドの系譜だ。結果、音楽が無産に成りつつある現代にこそエルヤーナス・トレッゴードの指向した世界が意味を持つのでは無いだろうか。
– ライナーノーツより 荻野 和夫/GHOST “”スウェーデンのサードイヤーバンド””との異名をとるエルヤーナス・トレッゴードは’69年結成、後にフラスケット・ブリンネルやラグナロクに加入するメンバーが在籍した初期北欧サイケデリック・シーンの重要バンド。今作は’72年に名門サイレンスより発表したデビュー作を紙ジャケット/SHM-CD仕様にて発売。サイケの影響下にあるドラッギーな感覚を全編に導入しつつ、古楽やトラッドも取り入れた独自の世界観を組み上げた構築的なサウンドは唯一無二。重く暗い鐘の音のSEから呪術的なパーカッションとヴァイオリンがたなびく中をスペイシーなシンセが交錯する異端の冒頭曲を初め全篇正に狂気と幻想に満ちた音世界が展開する、’70年代北欧シーンの中でも屈指の異端作。
さらに今回の紙ジャケット化に際し、サイレンス・レコードが新たに貴重な音源を発掘。内容はアルバム発表前の71年、ストックホルムの伝統的な野外音楽イベント””ヤーデット・フェスティバル””に出演した際の音源「中世音楽の為の序奏」を収録。またジャケットはバンドのキーボーディストでありボ・ハンソンのジャケット・イラストも担当したデザイナーのヤン・テルナルドが手がけ、後期ゴシックを代表する画家ヒエロニムス・ボッシュの怪作『快楽の園』をコラージュしグループの混沌としたダークな音楽性を見事に表現。CD版ではお目にかかれないレコードの裏面や希少なオリジナル盤にしか付属しない美麗内袋も紙ジャケット仕様により完全再現。是非、繊細なミニチュアの世界を貴方の手で確認して頂きたい。 (Framitden Är Ett Svävande Skepp, Förankrat I Forntiden)’74年に録音されながら未発表に終わった幻のセカンド・アルバム。
27年後の’05年に初CD化となり、今回2011年マスター使用によるSHM/紙ジャケット化。
内容はデビュー作の流れを汲みつつ、ヤン・テルナルドの印象的なメロトロンとセバスチャン・オベリによるチェロを随処に散りばめた、前作よりも構築的な作品となっている。
バンド解散前の分裂状態を顕にしながらも幻想的、かつ幻覚漂う、当時の未発表が惜しまれる傑作。 (Delayed)