古着屋総兵衛影始末

表向きは古着商大黒屋、裏は徳川の隠れ旗本として、徳川家危難の際には身命を捨てて闘え―家康は死の間際、初代総兵衛に命じた。元禄十四年、密命から八十五年、六代目総兵衛は奉公人のそめ、義兄の繁三郎の不審死を知る。遺体には椿の花が添えられていた。それは何者かによる大黒屋殱滅の宣言であった。神君下賜の名刀葵典太が閃光を放つ傑作時代小説シリーズ疾風怒涛の第一巻。

読了、第一部を読了。 毎度毎度ながら着眼点と申しましょうか舞台発想が面白い。 「表向きは古着商大黒屋、裏は徳川の隠れ旗本」ですもの。 そうなるってぇと表稼業はぞんざいなんじゃないのかな?と思わせつつも、いやいやそんなことは全くなく、そもそも「惣代」ですもの。 商いが大きい大きい。 その商いの大きさが裏稼業と通じ、物語が進んでいくのであります。

にしたって六代目総兵衛(第二部に向けてこう書かざるをえない)は、というか著者による物語の主人公はスーパーヒーローでありまして、欠点というのがいささかもないのであります。 それが物足りないといえば物足りない(絶対になんとかなる・しちゃうだろうって予想がついちゃう)。 船が難破しちゃうかどうかとか心配もせず、あーただ「なんとなかるだろどうせ」ってあたりをつけながら読んじゃう癖がついちゃうのですよね。

物語の終盤は第二部へのヒントづくりの色が濃く、なんとなく「大団円」になっちゃったかなぁって印象がありました。 んでこれから第二部を読み始めるんですけど・・・まぁ読むんですけど。