吉原にある老舗妓楼「千惷楼」で人気の女郎が客と心中した。知らせを受けた吉原裏同心の神守幹次郎と会所の番方・仙右衛門は、その死に方に疑いを抱く。真相を究明せんと探索する二人だったが、その前には常に大きな影がつきまとう。そして、吉原自体の存在を脅かす危機が訪れる。幹次郎、そして吉原の運命は―。快進撃の人気シリーズ、一気読み必至の第十九弾。
帯に「憎まれ女郎の心中が吉原を火に巻き込む」って書いてあって、あれまた吉原炎上かねと思って読むも、読み終わるも、そういう方向に向かいそうな気配はなかった、なんとも不思議な19巻目ではありましたが、この著者の作品ではこの吉原裏同心が一番発刊を楽しみにしているもののなかなか出なくて、でも18巻目が今年の3月なんでそんなに無謀なほどに経っているわけでもなく、なんて私はわがままなんだろうなと思ったところではありますけれど、読了して私が思いましたに、この吉原裏同心が好きなのは舞台が狭いっていうところにあるでして、基本は吉原の中と、主人公の住む近所の長屋、まぁ出るつったって江戸の中くらいなんでありますから、えーっと他の作品みたいに海外に行っちゃうとかそういうのがなくて、こう、安心して読めるっていうのがあるんですよね。