一刀流の達人番匠谷吉三郎、昔は千石取、天下直参の若殿だったが、今は浪人。大望を秘めて、巾着切だの、夜鷹宿のおやじだのを子分にして、江戸は本所ぐらし。悪事はしても非道はせず、弱い者には大の味方、悪党どもには、坊っちゃん吉三、お坊吉三、と恐れられた。その吉三郎を頼って来たのが、売り出し中の女役者小染、実は仇を討ちたいのだとの訴え、有無なく承知したのも理由があった。痛快時代長篇。
子母澤寛の世話物。 なんやよくわからない状態からだんだんに読み進めるに話があれこれ結びつき、気が付くと読了していたという。 世話物であり、仇討ちものだったと。 しかも仇は2つもあっちゃったりして。
相変わらず・・・と申し上げていいのか、なにせ子母澤寛ですし、これ自体は昭和29年ですし、そんな大昔に書かれたものにあなた、というふうではありますが・・・語り口がいいんですよ。 「下ッし」なんて初めて目にしたけど、このへんは解説に書かれていた。 大学生の頃に寄席で会得したものなのだそうな(同じく解説によると、日常会話は北海道弁だったとのこと)。
ちなみにこの作品、映画化されているそうで、千恵蔵やら橋蔵やらひばり(美空ひばり)やらが出演しているとのこと。 DVD化されているし東映チャンネルでも放送しているそうですけど、いつか時代劇専門チャンネルで放送するとなったら是非見てみたいものであります。