「砂丘」を見たのが2010年だったという。 あれから「欲望」を観たいと思いつつ5年も経っちゃった。 いつで観られるようにはしてたんだけど、5年も経っちゃったんだ。
人気写真家トーマス(デビッド・へミングス)は、ある公園で逢引をしている男と女(バネッサ・レッドグレーブ)を撮影する。写真を撮られた事に気づいた女はネガを譲ってくれと家まで押しかけるが、トーマスは別のネガを渡す。ネガを現像すると、そこには逢引をしていた男の死体らしきものが写っていた。公園に行ってみると、はたして男の死体があった。しかし、トーマスが死体を撮影する為に再び公園を訪れると、死体は跡形もなく消えていた。すべてはトーマスの白昼夢だったのか?それとも…?
(今回、なんかしんないけど読点が多い…)
アントニオーニらしさ大爆発のすごい映画だこれ。 一度観ただけじゃわかんない。 私自身も、取り敢えずは一度観て、二度目はながら観をして、最後にコメンタリー付で観て。 コメンタリーがね、すごいいいんですよ。 私みたいな素人にもわかりやすく説明してくれんのね。 で、考えるところはね、余地はね、残してくれんの。
この奇妙な事件が、事件だったのか、そもそも起きたのか、もうなんなのか。 前半ミステリーで後半は不条理と言われるけど、私はあのねぇ、後半のはそんなに不条理だとは思わなかったなぁ。 なんかねぇ、現実味が無い、んじゃなくて、現実味を失わせていく、その喪失感がね、不安な空気があって、そうそう風も吹いてね、木が、葉がざわめいて…。 確かにラストは不条理だったわ。 シュールすぎて笑っちゃったくらいで。
主人公の新鋭写真家演ずるデヴィッド・ヘミングスが男前でね、しかもすっっっっっっっごくヤな野郎でね、もう殴りつけたくなるくらい横暴な奴なんですよ。 あ、ちなみに原題はBlow Up。 写真を「引き伸ばす」って意味。 どっちかといえばこっちの方が不条理じゃないか?ってくらい写真を引き伸ばす引き伸ばす。 ドラマ「24」のシステムか!ってくらいにアレなんですけど、引き伸ばした先にいくつもの「真実」が浮かび上がってくるんですよ。 それが「真実」なのかはわからなくなるんですけどね。
あとこれ、ヤードバーズの演奏シーンがあるんですよ。 ジミー・ペイジさんがニッコニコしてギター弾いてたり、ジェフ・ベックさんはアンプの調子が悪くなってイライラして爆発してギター壊したり、元々はWhoに頼もうとしてたらしいプロットそのまんまやってるんですよね。 あと、このギター壊れやすくね? で、壊したギターのネックを主人公がライブハウスから外に持ち出すんだけど、その瞬間にギターだ音楽だの芸術性が失われて云々って解説では言ってたけど、そこはゴメン、あたしゃよくわかんなかったよ。
そんなこんななんだけど、すごく面白いからみんな観るといいよ。 何度も観たらいいさ。
なお、オープニングシーンの芝生とパントマイム軍団は、シンメトリーにラストにも登場します。 こいう伏線がたくさん張られていて非常に興味深いです。