1975年、アレハンドロ・ホドロフスキー46歳(映画監督)、ミシェル・セドゥー28歳(映画プロデューサー)という2人の男は荒唐無稽で壮大な映画を企画した。撮影を前に頓挫したその作品は、「映画化不可能」と言われた小説、フランク・ハーバートの「DUNE」を原作に、そうそうたる面子をキャスト・スタッフに配し、莫大な予算と、12時間にも及ぶ上映時間を予定していたという。本作は、この“映画史上最も有名な実現しなかった映画”と言われ伝説となったホドロフスキー版『DUNE』の顛末と、ホドロフスキー、プロデューサーのミシェル・セドゥー、ギーガー、レフン監督等のインタビュー、膨大なデザイン画や絵コンテなどの資料で綴る、驚愕、爆笑、感涙のドキュメンタリーである。
存在しない映画。 撮影直前で頓挫してしまった映画の企画。 監督はホドロフスキー、あのホドロフスキー。 そのホドロフスキーが企画した、「DUNE」をベースに独自の解釈を加え、信じられないような豪華なキャストとスタッフを揃え(集め)、やたらと長い上映時間を予定していたらしい・・・ので映画会社の許可がおりず、脚本と絵コンテ(これがあるから映画は撮れるという)が残り、「戦士」達の活躍が果たされたホドロフスキーの「DUNE」。 そのありさまを伝えるドキュメンタリーであります。 原作知らなくても大丈夫。 そもそもこれはホドロフスキーのDUNEだし、おおまかな解説はしてくれますから。
このドキュメンタリーのおかげでプロデューサーのミシェル・セドゥーと再会でき、資金提供を通じて「リアリティのダンス」が制作される、というその後のエピソードがあるものの、ドキュメンタリー自体はホドロフスキーの芸術家としての始まりから始まり、映画制作とミシェル・セドゥーとの出会い、そしてDUNEの映画化という企画の始まりへと進みます。 これがドキュメンタリーのキモ。 すごく面白い。 知らない人でもじゅうぶん楽しめます。
DUNEが、DUNEの映画化の企画が頓挫したことが何を残したのか、というエピソードを経て、ドキュメンタリーは終わるんですけど、特典映像でもたーくさんフォローしてくれてるんで、そっちも全部観たほうがいいよ。
ところで年表を見ると、「DUNE」の頓挫のあと、子供向けに制作されたという「TUSK」があって、「聖なる血」があって、「The Rainbow Thief」があって。 「TUSK」と「The Rainbow Thief」がDVD化されていないんですよね。
アレがアレなんだけど、普通の映画で全然ホドロフスキーじゃなくてガッカリするんだそうな。