捜査は、ホシとデカの命がけのぶつかり合いだ──警視庁捜査一課勤務30年の名刑事・平塚八兵衛が、昭和史に残る大事件の捜査現場を語る。地を這うような徹底捜査で誘拐犯・小原保を自供へ追い込んだ吉展ちゃん事件から、帝銀事件、下山事件、そして未解決に終った三億円事件まで、貴重な証言が満載。事件捜査の最前線に立ちつづけた男の言葉からは、熱すぎるほどの刑事魂が迸る。
三億円事件と下山事件、これらの記録を書籍で読むにつけ、この名刑事と呼ばれた方の名前が出てきて、なーんか引っ掻き回して(そのせいじゃないだろうけど)迷宮入りになっちゃった…みたいな印象があって、どういうことよ?って思ったままでありましたけれど、こういう書籍が出ているのを最近知って、さっそく読んだわけではありましたが。
職方気質といいますか、べらんめえ調で語られる証言はどれも興味深く、とくにかなりの割合を占める三億円事件に関しては時効直前であり本人は退職しているという気の楽さがさせるのか好き勝手に喋ってる感もあり、刑事にも合う事件と合わない事件があるのだなぁと思ったところであります。
しかし一番印象に残ったのは、自称が最初「オレ」だったのが、後半にかけて「ボク」になるというところ。 名刑事はどう自己解析したであろうか。