発刊されたのが6月後半、約半年をかけてやっとこさ読了。 なにより翻訳された方の努力に感謝でありますくらい読みづらい文体で、ちょいと呑みながら・・・というわけにはいかない堅苦しさが。
しかもクラウトロックであります。 そうとうに聴きまくってる人ならいざしらず、これを読んでクラウトロックを聴こうかって思う人がどれだけいるのか。 そもそも途中で・・・いや、序文あたりで・・・放り出してしまうんじゃないかって危惧しちゃったりしちゃわなかったり。 またLimbusにも触れられちゃってて、もう収集がつかない。
などとしょっぱなから肯定的じゃないベクトルを指してしまったのですけれども、それ(ら)さえ乗り越えれば、こんなに貴重な書籍はないんじゃないかってくらいに読了後の感動をおぼえるのでありますし、こいつぁぜひ読みながら、そこに書かれているアーティストの楽曲を聴きながらやっつけて欲しいところであります。 ほれ、いまだったらSpotify(それなりにジャーマンものがある!)とかYouTubeとかありますもんで、是非聴きながら読んで欲しい。 その相乗効果たるや、呆れるくらいです。
クラウトロック(ジャーマン・ロック)と言ってもそれを音楽的ジャンルで括るのは不可能であり、カンが好きな人にはノイ!やクラスターも薦められるね的な言い方はできるけど、****(←ここにはなにかしらのクラウトロックのバンド名が入る)が好きならばファウストやアモン・デュール1もオススメ!とは決して言えない器の大きさというか引き出しの多さというかメチャクチャなところがクラウトロックにはあり、その器の大きさや引き出しの多さなんてなものはクラウトロックそのものじゃなくてクラウトロックを聴くこちら側に要求されているって話なんですよ。
Harmut Enkeの最後のセリフがすごかった。 これだけ読めただけでも儲けものだったなぁ。
我々はクラウトロックのことをじつはまだよく知らない
──ファン必読書。『ガーディアン』のライター/『The Wire』誌のエディターの著者が
膨大な資料と取材のすえに書き下ろしたクラウトロック評伝の最高作、ついに翻訳刊行!第二次世界大戦後、西ドイツはショック状態にあった。
直近の歴史から遠ざかり、他のヨーロッパ諸国から取り残されていたからだ。
しかしこの孤立した風景は、60 年代にクラウトロックとして知られることになる、
実験的で様々なサウンドを育んだミュージシャンたちの世代にとって、肥沃な大地であることが判明した。
東洋の神秘主義、シュトックハウゼンの破砕した古典主義、工業の空圧反復やラインラントの深い森、終わりの見えないアウトバーン。
アングロアメリカン的なジャズ/ブルースの伝統を避けつつ、ドイツは他の場所にインスピレーションを見出した。
ファウスト、ノイ! 、クラスター、アシュ・ラ・テンペル、アモン・デュールII、カン、クラフトワーク──
これらのグループが持つ瞑想的かつ膨張的な作曲法が、西洋のポピュラー音楽にもたらした影響は計り知れない。
彼らが重要視されたのは、ポストパンクからエレクトロニカ、アンビエントに至るムーヴメントの発展においてだけではない。
デヴィッド・ボウイ、トーキング・ヘッズやプライマル・スクリームなど多様なアーティストたちとって、
それらのグループは直接的なインスピレーションを与えてきた。
『フューチャー・デイズ』は黙想ふけり、ときに抽象的、そして、しばしとても美しくもある音楽と、
それを成し遂げたグループについての仔細な研究であり、彼らを形作った社会と政治の文脈にも光を当てている。
今日の音楽のどれだけ多くの部分がここで誕生したのかを理解し、
大きな影響力を持つ先駆的なアーティストの財産を発見したい者にとっての必読書である。