もちろん Faust を知るまで Tony Conrad は知らなかったわけで、正直言えばいまだにどういう人か知らないでおり、ウィキペディアを見ると
トニー・コンラッド(Tony Conrad、1940年3月7日 – 2016年4月9日)は、アメリカ合衆国の作曲家、ヴァイオリニスト、映像作家、俳優、教員。
とあり、きょきょきょ教員!?ってくらいに知らない。
唯一知ってるのがこの Faust との共作(1973年リリース)。 CD再発のリストを見るに1993年の Table of the Elements 盤を購入しているはずなんだけど、肝心のCDがどっかにいって確認できず。 ドローン音楽だってんで、しかも Faust が関わっているってんで、勢い込んで聴いてみたものの、当時はがっかりしたおぼえがありまして。 ちなみに30周年記念盤もある…。
ドローンといえば今や無人航空機ですけど、ドローン音楽はそれになりに歴史があって、ラ・モンテ・ヤングなんて巨匠が有名ですけど、この Tony Conrad もドローン音楽を「創造」したって話では著名なんですね。 そういうもの知らなかったし。
同じ音が延々と続く、持続音だけで構築されている、というのがドローンの特徴。 もちろんこの作品もそうなんですが、なんとリズムがあるという。 そのリズム(ドラムとベース)を Faust さんが演奏しているんです。 思い起こしてみれば再始動した Faust はこの二人が中心でした。 当時の中心人物でもあったんですね。 で、うまいんだかうまくないんだかわかんないんだけど、すごく特徴的なリズム隊(音色も独特です)の上に、彼方まで届きそうなバイオリンが重なるという、それ以上でもそれ以下でもない作品なんでありまして、相当に前衛です。
本来だったらこんなん、リズムボックスとシンセでやっちゃえばいいじゃんって短絡しちゃうところですが、人力でやってるところがドローン音楽の強みで、たまーーーーに揺らいじゃったり、たまーーーーーにシンバル入れちゃったり、たまーーーーーに和音にしてみたりと、そういうところがいいんですよね。
なにしろこの作品も Faust のそれまでの作品も、ついでにいえば Slapp Happy も全然売れなかったそうで、ヴュメの廃校で共に籠もってた Uwe さんもメンバーも相当に落ち込んだんでしょうねぇ。 っていうか売れる音楽じゃないもんね、そもそもが。