飢饉や大地震が続き、危機的な経済状況にある天明期の江戸幕府。足軽の子と蔑まれつつ、経済手腕を買われて老中に出世した田沼意次と、借財に喘ぐ下級武士でありながら、狂歌師として、自由な「サラリーマン」生活を謳歌する大田南畝。二人の生き様から、企業人としての武士の懊悩を描いた、本格時代小説。
同じ江戸時代の同じ時期の武士といえどもその格の差で会うこともないだろう2人の主人公をそれぞれの側から話を進めさせ、最後は対面して終わるという、すごく簡単に書くとそうなるんですが、この文庫本で400ページほどのお話をたいへん興味深く読了。
正直私は太田南畝という人を知らず、この書籍を読み進めてみてもさほどに興味を持てなかった。 ですが、話によって善にも悪にも(極悪にも)なる田沼意次が今回はどうなるんでしょう?っていう興味だけで読み始めたところでありまして、だんだんに運のめぐりが悪くなり、息子が死んで自分も没落していくさまが、こう、毎回どんな話を読んでもぐっとくるんでありますなぁ。 っていうかよかった頃のままで終わるのって剣客商売くらいしか知らないぞぅ。