どこに住み、暮らしたのか。戦後まだ、いたるところで、乞食、サンカ、病者、芸能民、被差別民などの漂泊放浪民が移動生活をおこなっていた。かれらが、社会制度をはなれ、生活のよすがとした洞窟などの拠点「アジール」を全国に訪ね、その暮らしの実態を追うノンフィクション。もうひとつの戦後昭和史の貴重な記録。
なのだから、被差別民の本質をどうとかいうのでなく、あくまでフィールドワークの中で得たルポを示した、ということなのでしょう。 三角寛なんかへの批判についても、伝聞ではありながらも自身のフィールドワークから得た情報を基に推測し、おこなっているわけであり、無闇感はなく、納得のできるところではあります。
しかしながら少なくともこの私自身は外野の人間であり、傍観するだけですから、盲目的に入り込んでどうこうと言うことはできません。 また、こういう流民というものはもうおらず、おったのであったって随分と昔、50年くらい前にはいなくなったそうなんで、そんな昔の話をフィールドワークで掘り起こすという業績はなにはなくとも評価しなければならないかとは思います。
今は便利な時代で、国土地理院の地図が掲載されていれば、それを基にGoogleMapsで探せちゃい、航空写真(衛星写真か)でなんとなく見られちゃうんですもん。 あー今では人家とかそばにあるけど、道も整備されているけど、昔はとんでもないところだったんだろうなぁって推測なんかしながら。