God Is More Than Love Can Ever Be (Sun Ra)

Sun Ra で1枚、というのは無茶な話であります。 土星生まれのこの肩書の多い宇宙人はバーミンガムで生まれたそうですけどたぶんそれはウソで、アーケストラという自身のビッグバンドを率いて、また他のプロジェクトも恐ろしいほどあって、リリース群は眼を見張るほど。 そのから1枚っていうのは前述のとおり難しいのですけれども、フリーキーすぎるのを除けばっていう話になると話は別だし、その実、入門者はそこが大事なんだよブラザース。

土星よりも向こうに行っちゃった作品群を選り分けて、その先に Lanquidity だったり Space Is The Place だったりが見えてくるんじゃないかと思います。 いや、普通はどうしたって見えてこない。 すごく困った話で、こういった珠玉の作品を聴いた後ならば(つまり免疫がついたならば)他の作品に手を出してもそう失敗することはないんですけど、初めて聴いた作品がフリーキーでわけがわかんないと思ってしまったら不幸なんじゃないかなぁ。

God Is More Than Love Can Ever Be は元のタイトルを Days Of Happiness といい、1979年のリリース。 珍しいことにピアノトリオの編成で、そもそもがピアニストである宇宙人のことなんで、そうとうにアレな演奏なのかと思いきや、それが全然。 ピアノを弾いていてもなんか信用できないというか、いや演奏している事自体は信用しているんですけど、実は楽器使っていなくて超宇宙的なことをしているんじゃないかって思わせるんですよね。 というのは冗談で、すごいスイングしているんですよね。 よくよく聴けばSun Raなんですけど、BGMにしていると普通に空気に馴染んでくるという。 とても洗練されていて、あぁこの人は芯からジャズピアニストなんだなぁって思わせるのでありました。