Disques Espérance のカタログをざっと見てみたんだけどひとつとして知ってるもしくは持っているものはなかった。 世の中は広い。
先日亡くなった沖至が参加していることで有名な(いや違うかもしれない)一枚で、オリジナルは 1975 年リリース。 & Space Spies 名義では唯一の作品、っていうか Noel Mc Ghie ご本人自体が音源を残していないっぽく、謎。
聴き始めるといかにもドラム奏者のリーダー作品だってわかるような気がして。 もしかしたらクレジット関係を知ってから、ジャケットを見てから聴いたからそう感じたのかもしれませんけれど、やたらにクリアでソリッドなドラムでして、派手さはないけどツボをしっかり心得ており聴いてて心地いい。 グルーブも抜群で、こういうのを隠れた名作っていうんでしょうなぁ。
ジャマイカ北部の街、オーチョ・リオス出身のジャズドラマー、ノエル・マッギーが1975年に吹き込んでいた、フレンチ・スピリチュアルジャズ/ファンクの知られざる傑作『トラピーズ (Trapeze)』。タイトで表情豊かなリズムワークと、エレピが醸し出す独特のメロウネスが際立つ傑作です。バックを務めるスペース・スパイズの面子も、国際色豊かで、マルティニークを代表する鍵盤奏者の一人、ジョルジュ・エドゥアルド・ノエルに、同じくベース奏者のルイ・ザビエル、ブラジルのサックス奏者、ホルヘ・ジョアンに加え、何と日本からもトランぺッターの沖至氏が参加していると言う、興味深い1枚です。 ノエル氏の叩き出すソリッドかつグルーヴィーなドラムを軸にしたリズムワークと、メロウ&ドープなフィーリングが気持ち良いウワ物が融合した演奏の良さも特筆点ですが、本作は、ノエル氏のコンポーザー、アレンジャーとしての魅力もギッシリ。オープニング、メロディアスで緩やかな出だしからジワジワ高揚して行くスピリチュアル・ジャズ「01. Trapeze」から素晴らしいですが、男気あふれるファンク「02. Dancer」、同じくイントロのベースラインから秀逸な「05. Mademoiselle Tuloch」、巧みなドラムソロが印象的な「04. Ubet」など、ファンキーサイドは大充実。さらに、軽やかにエレピが歌うジャズグルーヴ「03. For Gone Desillusion」のスタイリッシュさにも要注目です。 ヨーロッパでは古くからDJや、ジャズ愛好家に親しまれ、人気が衰えることの無い逸品です。スピリチュアル・ジャズ、ファンク、レアグルーヴなどのキーワードが違和感無く同居するマスターピースと呼ぶに相応しい1枚です。