Shin Joong Hyun & Yup Juns (Shin Joong Hyun & Yup Juns)

これまでにもJIG盤(JCDS0451※バーコードあり盤となし盤の2種あり)、ジュンヒュン先生の紙ジャケシリーズである韓国ポニーキャニオン盤(SJHMVD0010※OBIには間違いで09記載)でのリリースがされていた韓国サイケ重要作、ユプチュンドゥルの74年1STがようやく再発!!ユプチュンドゥルのアンサンブルはCREAMやJIMI HENDRIX EXPERIENCE的パワーリフ・トリオのまさに辺境版。ソウルのホテルで6ヶ月の期間を経て録音された10曲はラジオ・プロモーションで見事惨敗。後に再録されることとなるのですが(そちらがJIG盤)、今回の再発では上記オリジナルMIXを余すことなくパッケージング!!M1″BEAUTIFUL WOMAN”(原題:MIIN:美人)は現在の韓国ミュージシャンもこぞってカバーしているキラーチューンです。実はCRAZY KEN BANDもアルバム”777″でカバー。まさかアジアの片隅にこんな単音リフが眠っていようとは・・・この曲の為だけでも所有すべき1枚!!ちなみに「ユプチュンドゥル」はもともと「古銭」という意味で、転じて不快感や嫌悪感を表すスラング。シン・ジュンヒョン自体が自身のキャリアに不満を持っていたためあえて反抗心で自虐的につけられたバンド名とのことです。

いきなりめんどうくさいのが Shin Joong Hyun & Yup Juns の 1st(1974年リリース)。 曲が短めな版よりも眺めな版のほうがファズ度が高く、しかしファズ度が高ければいいっていうもんでもなく、なんていうかホテルだかでどうやって録音するんだよっていう話があるものの、曲が短いっていうのが「コンパクトにまとまった」結果を生み、フレーズを組み立てていく曲調にあっているんですよね。

韓国のロック、しかも黎明期のそれっていうと、っていうかそもそもこの人が韓国ロックのゴッドファーザーっていうくらいですから基準がこの人になるとは思うんですけれども、かつ、他の韓国ロック・・・ロックらしいロック・・・を聴いたことが少ないので比較のしようもないんですが、日本で言うところの演歌をもっと煮詰めちゃった韓国歌謡っぽい節回しが最初は口当たりが悪いものの慣れてくると癖になってしまうんですよねボーカル的に。

やっぱりどうしてもボーカルに耳が向いてしまうところながら、演奏もいいんですよ。 プロモ用っていうことで「ん?」っていう部分がないことはないながら、タイトでね。 そもそも米軍基地あがりのミュージシャンっていうことで、こなれている、と。 別のアルバム(本人名義のソロライブだったか)でサイケデリックだサイケデリックだおっしゃってますんで、そうとうの好きものなんだなって感じですけど、きっちり演奏にも反映されています。 広義でのサイケではあります。

当時の韓国でよくまぁ!っていう奇跡的なアルバムなんですが、次のアルバムで当時の大統領にあてこすっちゃってえらいことになったそうだからなのかいきなりテンションが歌謡レベルになってしまい、ご本人は病院に拘束されちゃってバンドは解散、という憂き目になってしまったわけですけれども、この 1st はいい、とてもいいと私は感ずるのではありました。