ギター奏者でありキーボード奏者でもある Vytas Brenner はドイツ生まれ(1946 年)のベネズエラ育ち。 晩年にヨーロッパに戻るも、2004 年にザルツブルグで死去するまでにリリースされたリーダー作品は(おそらく)ベネズエラのレーベルからのもので、よほどじゃないかぎりは日本でその名前を見ることは稀なのではないかと思われます。
ベネズエラの(当時の)音楽シーンがどういったものなのかは、よほどのマニアさんであれば分類もできましょうけれど、Vytas Brenner に関して言えばこの人は変態。 ラテンアメリカの大地では、サイケ・スペースをベースにしてジャズやプログレ、アバンギャルドやノイズをごった煮にしつつも通底しているのはラテンでありグルーブであり、長尺のゆったりとした今で言えばアンビエントとかそっちに属するような音楽であっても一筋縄ではいかないところ。 後期はずっとポップになっていくような気がしますけれど、それまでのクリエイティブな期間がずいぶんに長かったことがリスナーとしては大変にうれしい。
アルバム「Jayeche」は、Ofrenda というバンド形態で 1975 年にリリースした宇宙アルバム。 宇宙っぷりは 1982 年リリースの(ソロ名義である)Estoy Como Quiero まで続き、そのアングラなクロスオーバーっぷりはベネズエラ産ということも相まって、いよいよ怪しい。