ローマ録音、1973年発表のサード。古代エジプトで死者と共に埋葬された「死者の書」をモチーフにした作品で、死者の霊魂が肉体を離れ、死後の楽園アアルに遊ぶ様を描いたトリップ・ミュージック。ファーストのダイナミズムとセカンドの楽曲指向を程良くブレンドして洗練させた彼等の最高傑作と言ってもよい完成度の作品。
今のはライブ盤もついているのか・・・っていうのはさておき(くやしい)、Brainticket といえば 1st のジャケットなり内容なりでありまして、ジャケットといえば 2nd のだって相当に脳味噌が見えちゃってるしで二の句が告げられないくらいの話なんですが、ここで敢えてジャケットについては語らないとしても、よっぽど 1st の内容は鬼気迫るものがあり、あるいはまた悪夢でもあり、完全にフリークアウトしちゃってて確かに一日に二回以上は聴けないよとてもじゃないけど・・・というものではあるんですけど、この 1st がリリースされたからこそ、1st が存在したからこその Brainticket で、やれ 2nd や 3rd への移行で随分と音楽的になったとは言われるところながらも、事実それはあながち間違えではないにせよ、それらのトリップ感は尋常じゃないところであります。
中心人物であり 2019 年にスイスで亡くなった Joel Vandroogenbroeck はベルギーの人であり、その意味では違うところですがジャーマン・ロックの流れで語られることもあり、ちょっと混乱するところではありますけれども、よくよく聴けばそりゃジャーマンっぽくはなく、それはおろか地球っぽくすらないっていう恐ろしい事実に気付く頃には、もういけません。 サイケを遥かに凌ぐ異空間的な存在だったりするんですもの。