波瀾万丈すぎる天皇像からわかるこの国の形
高天原の神の直系という神話の時代から現代まで連綿と続く「天皇」。天と地を祭祀によって結ぶ機能を持つ天皇をめぐっては、個人としての逸話やこの世界と異界とを介在する中間者としての伝説などがさまざまに生まれてきた。ウロコや尻尾を持つ異形の天皇、改革に挑んだ天皇、怨霊になった天皇、正史に貶められた天皇、和歌の守護者としての天皇、天皇の権威を利用した陰謀論……『古事記』『日本書紀』をはじめ、古今の文献に描かれた天皇35人37代の物語から、時代とともに変化して生き抜いてきた天皇の姿と日本の歴史が見えてくる。
・仁徳天皇(16代)=多くの女性と浮名を流す
・雄略天皇(21代)=『日本書紀』では「大悪天皇」
・陽成天皇(57代)=暴君伝説の裏側
・宇多天皇(59代)=日本史上最初の猫マニア
・花山天皇(65代)=好色な愚帝の実像
・後桜町天皇(117代)=教養あふれる最後の女帝
・昭和天皇(124代)=天津教事件と元東宮女官長の予言
【本書の内容】
第1章 天皇前史
第2章 天皇の誕生――「倭王」から「天皇」へ
第3章 正史に描かれた天皇――正史はウソもつく
第4章 和歌の守護者――政治から文化へ
第5章 乱世を生き抜く天皇
第6章 権威者として生きる天皇
第7章 変貌する天皇
私はどちらかといえば神道派で、毎朝神棚のお水をとっかえて柏手打つ程度のものなのですけれども、だからといって盲目的になにかを信じるでなし、そういう意味で宗教化していく道程にたいへんな疑問を持つのではありまして、つーことはなにか、神話派か?みたいなことになるのかもしれません。
神話っていうと一気に現実味がなくなるのもおもしろい話ですが、同時にサブカルに吸収されやすくなるし燃料としての役割としては新興宗教をぽこぽこ産んじゃうくらいのもんですから尋常じゃないものがあります。 またほかに政治利用も容易で、それ以前にもありましたが近代で言えば明治維新から先の大戦まではまさに天皇の政治利用だったわけで、俗な言い方をすればダシにされたわけで、戦後憲法レベルでその存在を象徴にしないとやってられんわーくらいのものなのでした。
かといってそれこそ万世一系の聖人君子だったわけではなく、逆にそうだったら怖いわ!って話でもあります。 そのへんをこう、隠すべきものは「いい感じに」宮内庁が隠して、他は・・・「ふわっ」とした感じにしておいて(日本人が受け入れやすい感じにしといて)、下衆な言い方をすれば新しい「天皇や皇室の利用方法」を模索しましょうっていうもんなんだと思います。 ひたすら穏便にソフトに。
そういう下地があれば、文献によると歴代の天皇はこうでしたー的な説明をされても「へー」とかで済みますし、かえって親しみが湧いてしまうという、戦前戦中では考えられなかったであろう事態が発生してしまいます。 それでもなんでもかんでも都合の悪いことを抑え込まれることよりは未来があるんじゃないかなぁ。
そんなわけで男系継承がヤバくなってきた今日このごろ、皇室典範を法律化させてしまったツケをかえさなくてはならなくなってきたのですけれども、それであっても世の常で外部からの強制でこうなったのであり、使い方を誤ったかな?って見られなくもないのですけれど、そこは日本ですから、なんとなーく回り道とかして、過去の事例とかをなんとなーく見返してみたりして、女性(女系ではない)天皇の余地を一代限りで「指し許す」なんて法律改正ができちゃうかもしれませんですねぇ。
天皇だって象徴かもしれませんが神ではなくて人間ですからね。