Urszula Dudziak という読み方がわからないポーランドのジャズ歌手は 1943 年生まれだというからドイツの占領下にあった頃であろう。 10 代から歌い始めて Michał Urbaniak と結婚して(のち離婚)アメリカに渡り、1972 年に Adam Makowicz との共作である Newborn Light をリリース。 その後自身のソロアルバムを出したり Michał Urbaniak のバンドに参加したりと、思いの外積極的な活動経歴をお持ちのよう。
と書くと、ごくごく普通のジャズ歌手と思えてしまうのですが、さにあらず。 前述の Newborn Light(ゆっとくけどこれも必聴)の時点で方向性ががっちり固まっているからすごい。 5 オクターブの声域を持つとされる彼女は、言語で歌うことが少なく、スキャットと書けばそれだけになってしまいますけど、もはやそれすら超えた前衛ともいえる「発声」を武器に独自の世界を構築しておりますです。
Future Talk は 1979 年リリースのソロ(約)3 作目。 ジャズをベースにしているんですけど、発声だけの曲がそこここにあったりで、どことなく崩壊感が漂います。 けれども破綻しているわけではなく、意外にポップに聴こえてしまうからすごい。 更には発声だけの曲の後にジャジーな演奏が聴こえてくると、それすらなにかポップな印象を与えて・・・御見舞してくるわけで、聴いてるこちらの次元を変えにきているんだとわかります。 だので正直言えば BGM としては絶対に成立しない。 ちゃんと聴かないと追いてかれちゃいます。
ちなみに個人的には再びブギー路線に戻ってきた次作の Ulla (1982) もおすすめ。