マイケル・ジョンソンが歌って大ヒットとなった「ブルーアー・ザン・ブルー」(邦題「哀しみの序章」)のオリジナル(本作に収録)を歌ったことでソウル/ポップ史に名を刻むシンガー、ルビー・ウィルソンによる唯一のアルバム。収録曲が数々のコンピレーションに収録され、探している人も多いレディ・ソウルの隠れた名盤。ドロシー・ムーアも歌ったジョージ・ジャクソン作の「シーイング・ユー・アゲイン」といったスロウ・ジャムでのずば抜けた歌の巧さもさることながら、『オフ・ザ・ウォール』期のマイケル・ジャクソンにも似たアーバンなディスコ・ナンバー「アイ・ソウト・アイ・ウドゥ・ネヴァー・ファインド・ラヴ」やドラマチックなダンス・クラシック「ザ・フィーリンズ・スティル・ゼア」での豪快な歌唱は、アレサ直系のゴッド・ヴォイス!
もともとはテキサス州の出身なのだそうな。 (テネシー州メンフィスの)「ビールストリートの女王」って言われているくらいなのでそっちの出なのかとばかり。 で、1981 年のリリースされた 1 作目のアルバムは、どういうわけかミシシッピ州の Malaco からという。 でも Malaco 自体が本来「ブルースのレーベル」だということを踏まえるとあながち間違ってもいない選択だったのかもしれないです。 けど、アルバムの内容はソウル/ディスコでして、この人自身がそういう系の人なのかとこれまた勘違いされそうで困ります。
母親からはゴスペル、父親からはブルースを教えられ、ミドルティーンで B.B. King に出会っちゃうっていうのもすごい話で、そうなるとなんで Malaco からアルバムなの?っていう疑問が再燃しちゃう。 やっぱり不自然な感じがするんですけど、アルバムの内容はすっごくいい。 もともと歌がたいへんにおじょうずなもんですから、この手の曲は朝飯前っていうくらいなんでしょう。 歌を飲み込んじゃってるんだもん。
で、この Malaco からのアルバムもいいんですけど、より一層 Ruby Wilson を堪能したいんであれば、ジャズ寄りに傾いた A Song For You (2000) を是非聴いてほしいです。 いまとなればスタンダードナンバーをジャズのアレンジでこれでもかっ!っていうくらいに歌い上げています。