英国ノーザン・ソウル・シーンで人気の楽曲を収録した、ニューオーリンズ出身の女性シンガーのデビュー・アルバム
ローリング・ストーンズのアルバムにバックコーラスで参加した経験もある、ニューオーリンズ出身の女性シンガー、タミ・リンがコティリオンに残したデビュー・アルバム。モノローグから歌へと入る凝った演出でスロー・ナンバーを多く聴かせる前半に対し、後半は、英国のクラブ文化「ノーザン・ソウル」で人気の〈アイム・ゴナ・ラン・アウェイ・フロム・ユー〉など、アップ・テンポの曲が多く登場し、異なる魅力を楽しめる。
Rolling Stones のアルバムに参加した、というよりも Dr. John のアルバムの常連だったという印象のほうが強い Tami Lynn さん。 ニューオリンズ出身っていうことがここで納得できるところ。 で、そのソロ作品となると予想以上に少なく、1972 年リリースの本作だけかと思いきや、1992 年にもう一枚出しているらしいんですよね。 でもそっちは未聴なので 1st をば。
CD 化されてトラックが厳密になってしまうと、このアルバムのアナログ盤でいうところの A 面の良さが曇ってしまいます。 モノローグから楽曲という流れが 4 回あって、それぞれが繋がっているという前提で段々に盛り上がっていくのがいいのでありまして、その点で言えば A 面で 1 曲だと捉えるのが最適解なんですよね。 とまれこの手法、なかなか凝ってますしほかでは見かけないものですし、すごく効果的でもあります。 意外なことに睡眠導入にも適しています。
続いてアナログでいうところの B 面。 いきなりヒットした I’m Gonna Run Away From You からなんですけど、私この曲あまり好きではないんですいませんなんですが、その後は改めて Tami Lynn というボーカリストの力量を知らしめてくれるのでありまして、A 面もいいんだけど B 面もいい。 つまりいいアルバムじゃないの!っていう話になるのではありましたとさ。