More, More, More (Andrea True Connection, The)

 amazon | yodobashi 

テネシー州ナッシュビル出身で、ポルノ女優としても人気を博したシンガー、アンドレア・トゥルー。本作は“アンドレア・トゥルー・コネクション”名義でのデビュー・アルバム。オーケストラ要素をふんだんに盛り込んだゴージャスなトラックに甘いヴォーカルが乗った「More, More, More」(全米シングル4位/ダンス2位)は、1970年代後半のディスコのキーマン、グレッグ・ダイアモンドがプロデュース。

今ってポルノ女優って言わないんですよね。 いや「ポルノ」じゃなくて「女優」のほう。 なんや男女平等じゃないとか性の多様性うんちゃらかんちゃらだからなのだそうですけれども、マスコミはこれを明確に定義し公表したことがあるのかどうなのか、なし崩し的に「俳優」で統一しているきらいがありますけど。 「男優」っていい方だとそれこそポルノを連想するっていう笑える話もありますけれど、どれもこれもマスコミがつけたりはずしたりしているだけでしょう。 ばかばかしい。

という(?)Andrea True は私から言わせればディスコ歌手であり、ポルノ女優でもあったの?へー!なんていうところ。 この最初のアルバム(1976 年リリース)の制作経緯が興味深くて、

その間の1975年にジャマイカへ渡り、現地の不動産会社のCMに出演するが、当時のジャマイカでは国外への外貨持ち出しが禁止されていたため、ギャラを持って帰国できないトラブルに見舞われる。同国が米国から受けた経済制裁に対する報復措置によるものであった。そこでアンドレアは、現金の代わりにジャマイカでレコーディングしたマスターテープであれば、米国に待ち帰りが可能であるとアイデアを搾り出し、友人の音楽プロデューサー・グレッグ・ダイアモンドに連絡を取る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AB%E3%83%BC

んでオケの入ったマスターをジャマイカに持ってってオーバダブしたりボーカル入れたりして(CM のギャラを現地に還元して)完成させたという。 Andrea True 自身のアイデアだといいますけれども、まぁよく思いつくわ。

それにしても「友人の音楽プロデューサー」ってぇのが Hot Butterfly の Gregg Diamond ですからね、たいした交友関係ではありますけど、本作の内容もジャマイカ経由ですけどれっきとした N.Y. ディスコでありまして、王道一直線。 しかも素敵な曲ばかりでさすがというところ。

ちなみに Andrea True さん、この翌年の 1977 年に同傾向でこれまた捨てがたいアルバム White Witch を発表し、ここでやめとけばよかったのに時代の波に流されきったのか 1980 年にはご自身の名義で War Machine を出すんですが、これがパンク/ニューウェーブ路線に舵を切ってしまい、私なんてかなり困惑。 さらに蛇足ですがこの後に喉に腫瘍ができたとかで結果歌手活動をストップされたとかで、有終の美とはいかなかったもようです。

でも、本作はなにしろいい。 タイトルトラック以外もいいんですよ。 歌っていないところが(も)良いっていうのも大切な魅力。

▶ More Streaming Media...