このシリーズは、結成メンバーのイルミン・シュミットとプロデューサー/エンジニアのルネ・ティナーが監修し、貴重なアーカイブ音源を現代の技術と繊細な作業により最高のクオリティで見事に復元した。
このアルバムは、1973年のパリ公演を収録したもので、キーボード&シンセにイルミン・シュミット、ドラムにヤキ・リーベツァイト、ギターにミヒャエル・カロリ、ベースにホルガー・シューカイ、そしてダモ鈴木がヴォーカルをとっており、ダモ鈴木にとって、バンド最後期でのライヴ出演となった。
本アルバムがリリースされたのが 2 月。 これを書いているのは 4 月。 これが公開されるのが 10 月。 なんかすいません。 奇しくもこの間にダモ鈴木さんが亡くなられて追悼盤の体になったみたいですけど、ブートコレクターにはおなじみの 73 年のパリ公演も正式リリースの運びとなりました。
この発掘系リマスター正式公開シリーズも何アイテム目になったか覚えておらず、っていうのも買うのを断念したものもあるので全体像はよくわかっていないんですが、またまた奇しくもダモ鈴木さん在籍時のライブは初登場ということで感慨深いものがありました。 ブートの話で申し訳ないんですけど FM 音源だったとしても音が悪く、楽器(っていうか Alpha 77)のノイズ成分がブートをよりブート足らしめるという悪循環がコレクターを苦しめる、あるいは音圧がなさすぎてなにもわからなくてそれはそれで苦しめるっていう、阿鼻叫喚の世界だったんですよね。
でもこうやってようやくにダモ鈴木さん在籍時のライブが音質を向上させて登場したわけです。 「バンドにボーカリストがいる」っていうごく当たり前な話が Can というバンドにおいては前期だけしかなく、これまでリリースされたライブが前期じゃないっていうのもあって「どれの元曲がどれ?」状態になったはいたんですが(またそれが私をして「どれ買っても同じだから買わない」とさせた)、やはりボーカリストがいた時代のライブですから元曲がなんなのかわかっていいんですよね。 あ、あと、ボーカルがあるっていうのも。
っていうかブートだったら Spoon だとか Pinch だとか元曲っていうよりは「その曲」がクレジットされていたわけですこぶる溜飲を下げていたんですけれど、このシリースは何曲目、どこそこの何曲目っていうクレジットなんですよね。 本作だけはそういうのやめてほしかったなぁ。
1973 年というとウルトラ名作な Future Days の発売年でしたが、ライブで披露されているのは前年リリースの Ege Bamyasi の収録曲で、これはこれで魅力。 Future Days リリース後のライブがあるのかないのか、今となっては資料サイトがなくなってしまったので調べようもないのですけれども(Can Book に載ってる?)、あれば、録音されているのであれば聴いてみたいなぁ。 マイク持ったままスタジオから飛び出してエ●バの証人に入信してバンド脱退、という奇跡のようなことをしたのが Future Days 録音時だとすれば願いも叶いますまいが。
そういえばこのシリーズって関係者の死とかあって中断終了したはずなのに、スケジュールに上がっていたのかこの作品がリリースされたんですよね。 もう次はないんだろうし、内容も内容でいいし、今回久しぶりに買ったのでした。 そして聴きまくった今日このごろでした。