後期フィラデルフィアサウンドの立役者とも言える Dexter Wansel は自身のソロ作品ではリードボーカルを担うところなのですが、そもそもがキーボーディストでありますので全体から見ればインストの比率が多いように見受けられます。 しかし、1 作目の名作 Life On Mars (1976) から The Sweethearts of Sigma (Barbara Ingram, Carla Benson, Evette Benton) をバックコーラスに従え、ここぞというところでいい感じのボーカルなりコーラスが入るので、なんだったら歌モノのほうがいいんじゃないかって思うところ、4 作目であり 1979 年のリリースである本作がわりあいに歌モノだと言えますのでおじさんの溜飲も下がるというところ。 そうか曲も演奏もすごいよ、じゃぁ歌を聴かせてくれ・・・というニーズにマッチなのであります。
基本はジャズの人なんじゃないかと思います。 だのでジャズ・ファンクというのが基本的なラインであり、メロウなソウルに傾いたりディスコに傾いてみたり、はたまたずぶずぶのファンクに寄ってみたりと振り幅がそれなりに広いのも、フィラデルフィアの音楽シーンだからこそなし得たのではないかと私なんかは思うのですが、実はそんなことはどうでもよくて、Barbara Ingram(っていうか The Sweethearts of Sigma)が存分にフィーチャーされているのがなにより嬉しいところです。