70年代に活躍したグループで、カントリー調の豊潤なサウンドから、カラフルなポップ感覚まで、ふくよかな音楽で渋い人気を集めた。これは、75年の作品で、ビーチ・ボーイズやシカゴのメンバーが参加、そのふくよかさに花を添えている。コーラスも美しい。
すごいレビューだけどそれはさておき、King Harvest というバンドはフランス系アメリカ人が中心となって 1960 年代末に結成されたのだそうな。 結成後にだんだんにメンバーがフランスに移住していき、そこで録音され 1971 年にイタリアのレーベルからリリースされたのが I Can Tell とのこと。
そして注目すべきはここに Dancing In The Moonlight は収録されていないということ。 この時点で作曲者の Sherman Kelly はバンドに加入しておらず、っていうかまだ Boffalongo って活動していたんじゃないか説が私の中であり(調べろよ俺)、バンド内であれこれあって Dancing In The Moonlight を録音してシングルカットしたんですけど、Perception Records からのリリースだからなのかなんなのか、フランスでは売れなかったっていうんですよ奥さん。 でも Perception Records の本国であるアメリカではヒットしたとかで溜飲を下げることにはなりましたし、ワンヒットワンダーの烙印を押されることになったのではありましたけれど、なにしろヒットしてよかったね、っていう話です。
前述のアルバム I Can Tell に Dancing In The Moonlight を追加して(悲しいのがタイトルトラックが一番最後に追いやられたこと)わざとらしくアルバムタイトル Dancing In The Moonlight と改名して再発したんですが、これが売れなかったっていうから興味深いことですよね。
セルフタイトルで A&M から 1975 年にリリースされた本作はバンドの 2 枚目のアルバム。 クレジットを見て驚くように、Jeff Barry のプロデュースを筆頭に Chicago の Peter Cetera を始め、Beach Boys のメンバーやツアーミュージシャンが録音に参加をし、なんとも豪華なことになってもおり、内容もソフトにマイルドになってて言うことなしのアルバムになってるんですよね。 ストリーミングで黙殺されているのが不思議なくらいですし、そういうものなのね昨今の業界は、っていうところ。
もともと泥臭いスワンプなバンドだった(バンド名自体が The Band の曲から取られている)のに、どういう因果か Dancing In The Moonlight を演るに至り、ヒットしたからといって前年にローカルリリースしたアルバムに突っ込んで再発させる、という無謀さを私は申し上げたい。 その上で、その上で敢えて申し上げたいのが、Dancing In The Moonlight は 1975 年リリースの本作に収録するべきだったんじゃないかっていうことなんです。
畑違い(King Harvest だけに)の曲を植えてもうまく育つわけがありませんですよね。 その曲のヒットを受けて作曲者やら Chicago やら Beach Boys 界隈の人が集まったんであれば、そこで仕切り直すのがよかったんじゃないかって、実際に 2 枚のアルバムを聴いてみて私は思います。 まったくの損得なしにいえば、本作は出来がいいのではありますが、前作が駄作だと申し上げているのではありません。 そっちはそっちで泥臭くていいアルバムなんですよ。 なんなら両方とも紹介したいところなんですが、ヒット曲を無造作に追加する暴挙を咎める意味も併せ、さらに出来栄えのよい本作を私はお勧めしたいところであります。
追記:アルバムジャケットはひどい