Shine Baby Shine (Martin Circus)

1979 年リリースの 8 枚目のアルバム。 Martin Circus は 1968 年の結成というから、1st の 1970 年リリースから本作までおおまかに年イチのペースでアルバムをリリースしていることになり、フランスの音楽シーンの底の厚さに驚く・・・ばかりでもないけど、それよりなによりフランスのバンドはよくわからないのが多くて、Martin Circus もご多分に漏れずこのケース。

そもそも頑なにフランス語のロックを推し進めていた(そういえば Magma はコバイア語だったか)Martin Circus のスタートはロックなのではありますけど、時代が時代なだけにサイケっぽさもあるといえばある程度なのに比べ、やたらとプログレ臭が漂ってくるのがひたすらヘン。 本人たちにその意識があるのかないのか、なんとすればプログレっぽい展開になっちゃうんだけど、ひたすら中途半端でもってゴリゴリのプログレ愛好家からは毛嫌いされるであろう内容なのが哀しい。 これでフランスではヒットしていたというからわからないもの。 ちなみに私はこの初期の中途半端なプログレは嫌いじゃないです。 っていうか好き。

ということなので演奏というか方向性に関しては器用というか懐が深いんでしょう。 最初は自分たちの志向に合わせていたのに、突然ポップスに鞍替えしちゃい、それはそれでうまくいってるから不思議。 もちろんメンバーはアルバムを経るごとに減っていき、本作では 2nd から加入したドラムの人が「ドラムマシンの普及を受けて」脱退するという、わけのわからなさで一等賞を狙えるくらいです。 バンドってなんなんだろう。 そしてこのあとバンドはニューウェイブっていうか 80 年代ポップスに移行をし、失敗して最初の解散をしたそうです。

1976 年リリースの Tu Joues Ton Cœur から芽生え始めたディスコへの傾倒は、おそらくは一番に知られているであろう 1978 年リリースの Martin "Disco" Circus で結実を迎えます。 けれども匿名性が強いというか、Martin Circus らしさがいっこも見えない(そもそも Martin Circus ってなんだ?っていう根本的な問題もあるものの)このアルバムに一抹の後悔もあったのか、本作ではドラムがいなくなったものの徹頭徹尾ディスコに振り切っているので個人的には一番好きなアルバムです。 正式な CD 化もされておらず、配信にも乗らない悲しいアルバムではありますが、いつの日にか再評価されることを私は望みます。

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